ヴェネツィアンガラスの特徴
ヴェネツィアンガラスは、鉛を使用せずに様々な色合いを表現していることが大きな特徴です。混ぜた鉱物で硬度が異なるのですが、中でも赤色のものが最も硬度が高いといいます。また、色鮮やかで華やかな、見事な装飾もヴェネツィアンガラスの特徴のひとつです。

基本的な技術としては吹きガラスがあります。空中で吹いて極薄に吹き上げたり、ガラスを細く引き伸ばして、花や鳥などをモチーフにした柄を表現するなど複雑な装飾を施していきます。これは「軽業師の妙技」と呼ばれ、高度な技術を要します。
ヴェネツィアンガラスは手作りで製作していくため、1つひとつが特注のオリジナルとなり、柄の表現や細かな部分の成形サイズが微妙にずれも生じ、同じものが二つと存在しません。色(明るめだったり暗めだったり)、重さ、大きさ、模様の形など、並べて見比べるとそれぞれで違いがあることがわかるでしょう。大量生産して作る既製のガラス製品とはだいぶ違うことがこの点からもうかがえます。全てがまたと無い一点もので手作りということであり、本物のベネチアンガラスの証です。
色においても、特徴があります。自然光や、電灯や照明などの光の角度や当たり具合によっては、鮮やかな色の映え方にもそれぞれで個性がでてきます。とくに、とくに赤色・薄紫系のガラスは光のあたり方で色々な顔を見せてくれることでしょう。ご自宅へ飾る際には色々なシーンでお試しされると、ヴェネツィアンガラスの奥深さとそのおもしろさを実感できると思います。
ベネチアンガラスの歴史

貴族を熱狂させたヴェネツィアンガラス職人の技
ベネチアンガラス(ヴェネチアンガラス)は、古代ローマ時代のローマン・ガラスの発明にその起源を発するともいわれており、その時代にはすでにイタリア半島全域には多くのガラス工房が作られていました。
ベネチアンガラスは元々『ムラーノガラス(vetro di Murano)』とも呼ばれていました。ムラーノとはヴェネチア本島(ベネチアは陸と沢山の島からできています)から北東約1.5kmにある島の事で、このムラノで700年前からガラス製造が行なわれていたのが由来です。当時、その製法の秘密を守るため、ガラス製造業者と工人、家族まですべてをヴェネチア本土からムラーノ島に移転したといわれています。

そして、15世紀から18世紀にかけて、ヴェネツィアンガラスはヨーロッパ貴族を熱狂させました。この技術は、熟練したマエストロ(上級職人)達が代々の子孫へ伝承し続けており、現在でも昔と変わらぬ伝統の技でヴェネツィアンガラスを創り続けています。
ムラーノ島で製作されるガラス芸術は、15世紀には高級工芸品として価値を持ち始め、16世紀にはヨーロッパ全土で広く受け入れられ、流行していきました。ヴェルサイユ宮殿の「鏡の間」は、12人のムラノのマエストロ(職人/名人)がヴェネチアから連れ出されて製作したともいわれています。
卓越した技を尽くした結果、まさに美の極み。15世紀から18世紀にかけて、ヴェネツィアンガラスはヨーロッパ貴族を熱狂させました。

こうしてその名をヨーロッパ全土に広めたヴェネツィアンガラス。職人達は、主に貴族や富豪から特別に注文されたテーブルウェアを製作するようになり、それまでのスタイルをさらに大きく発展させました。

そして、アイスクラック、ダイヤモンドポイント彫り、レースガラス、クリスタルなど多彩なカットの技法も次々と生み出した結果、ガラス文化をヨーロッパ全土に広め、近世では一時、ヨーロッパ市場の90%を占有するほどに成長し、多くの人に認知をされていきます。そして現在、熟練したマエストロ(上級職人)達は息子からそのまた息子へと技術を伝承し、昔と変わらぬ伝統の技で現在でもヴェネツィアンガラスは創り続けられています。